敵兵を救助せよ!

敵兵を救助せよ!―英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」工藤艦長

敵兵を救助せよ!―英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」工藤艦長

先の大戦での美談です。沈没した敵の艦艇の乗組員を救助したというお話です。しかも戦闘区域の中で、自分も常に狙われる危険性がある中での話です。戦後、この艦の工藤艦長はこの話を誰にもせず、救助された乗組員が探し出そうとしても連絡が取れない状況であったそうです。敗戦のせいで、きっとこの工藤艦長のような”貝”になったまま埋もれていった話がいっぱいあるように思えてなりません。

最近、思うのですが戦争を始めたのは軍部ですがそれを煽ったのは確実に国民世論ですね。特にマスコミ。これこそが、日本の”空気”の力。あえていうなら同一性。例えば、この艦長や白洲次郎みたいに自分の意見を持って行動を起こせる人というのはごく一部ではないでしょうか。

この本にも出てきますが、”あの戦争は負けると思ってた”と後になってから言う人は戦争中はきっと鬼畜米英と叫んでいたのでしょう。それこそがいい方向に向かった時の日本の強みであり、道を誤ったときの脆さにつながっている気がします。