菊とポケモン

菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力

菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力

ポケモンを筆頭に、近年海外で大人気の日本のアニメなどを文化的にどう読み取れるかと言うことを海外(アメリカ人)の視点から描いております。単に世界でどれだけ大流行しているかを調査しているわけではなくて、なぜ今日本の文化が持てはやされているかを文化人類学的に調査研究しているので、基本的には論文調です。インデックスとか参考文献とかかなり膨大でかつ専門的です。

対象としているのは主にポケモン・たまごっち・セーラームーンパワーレンジャーです。そしてその前段階として鉄腕アトムゴジラなどが、なぜどのように戦後の日本で生まれたのか、物語の読み解きから始まります。で、ここら辺が基本的にアメリカ人なので、その解釈の仕方が一方的に感じて違和感を覚えますね。

結局第二次世界大戦後の日本とはずっとアメリカの文化的経済的影響下にあって、それを克服して更にはアメリカで認められることこそが日本のアイデンティティーだったというような感じです。だけど、2000年前後から、そんなこと全くおかまいなく上記日本のアニメなどがアメリカを席巻してしまい、ディズニーなど文化は当然アメリカ発だと信じてやまない筆者がなぜなんだと調査してみた結果が本書ということでしょう。

そういう意味では、日本が経済的にアメリカを圧倒しだした時の日本株式会社を調査した時のアメリカの論文に似ているかもしれませんね。文化的な調査結果である本書の要素を今後ディズニーが取入れるのか見ものですね。ただ如何に日本のアニメが全米の子供を魅了しようとも、今回は文化的な話なので、ピカチューをハンマーで潰す訳にもいかず、当のアメリカ人達は困惑していることでしょう。