最強の人生指南書

最強の人生指南書(祥伝社新書205)

最強の人生指南書(祥伝社新書205)

これまた最強とは大きく出た書名ですが、実際佐藤一斎の「言志四録」はなかなかに素晴らしい人生指南書と言えます。今の日本人には余り知られていないのですが、幕末に活躍した世代を指導した世代に影響を与えたのが佐藤一斎です。ちょっと遠いですが、おじいちゃん世代といった感じですかね。儒学者であり、朱子学のみならず、陽明学も抑えていたというから相当な博識家です。

前からこの言志四録については興味あったのですが、四録という名前の通り四冊に分かれているのです。やっぱりいきなり全部読むのはハードル高いので、現代語訳+解説で、更に読みさすさ、わかりやすさではうってつけの斉藤孝氏がこの本を出されていることを知って、読んでみました。しかも素晴らしいと思った箇所を選んで掲載しているので、より内容が充実しています。書き下し文も簡潔で、よく心に響き、暗誦したくなります。

斉藤さんの味付けのせいかもしれませんが、なんだか内容も正に現代にピッタリの内容ばかりです。優先順位付けが重要とか、忙しいと言っている9割は無駄な仕事とか、ほんとそのままです。寧ろ人間の変わらなさに驚くぐらいです。

結局「言志四録」がどんな本かわかりすぎるくらいわかったところで、やっぱり原書を読みたくなってしまうんですよね。よい道しるべであったのか、単なる回り道だったのか、悩ましいものです。でもいい本ですけどね。