フラッシュボーイズ

HFTとは何かといって、ハイパーフリークエントリーという名前以外にその実態がどのようなものか、噂先行であまり明らかになっていなかったと思います。そこに光を当てたのが本書で、出版されると同時にアメリカでも相当話題になったようです。著者はマネーボール等で有名なマイケル・ルイス氏です。そうですか、ここに目を付けましたか。

登場人物はこのHFTに対抗すべく新たに証券取引所を設立したブラッドカツヤマ。物語はそのカツヤマ氏が証券取引に疑問を持ったところから始まります。それにしてもよくこのような絶妙な主人公を見つけて来ますね。HFTがどのようなものかということを探って行くか正にピッタリですね。

私は金融の工学的な発展に先進性を感じて、アメリカの金融界のパワフルさに羨望に似た敬意を感じてきたわけですが、リーマンショック以降イマイチ失望感を感じえませんでした。HFTも同様で始め聞いたときは何か凄いことが始まりつつあると思ったのですが、その真実を知るにつけ、そのインチキさにガックリ来ました。確かに技術者としてはマイクロセカンドの戦いに素晴らしさを感じるのですが、そこじゃないだろうと。100%勝つなんっておかしいですね。しかもそれをNASDAQなどの取引所も正だと認知しているわけです。自分達の収益のために。

この流れは同様に日本にも及んでいるわけで、新しく出来た日本取引所もArrowsといって、高速取引に対応しようとしています。この間は株価の刻みを10銭単位に細かくしましたね。これもこのHFTのさや取りの影響でしょうか。

本書の最後はなんだか次の展開を予想されるような中途半端な終わり方をしているので、近いうちに続きの本が出ることを期待したいですね。