最も賢い億万長者

 

 

 

最近は極秘のベールに包まれていたヘッジファンドの内情を描いた本が出版されるようになってきましたが、ついにあのルネサンステクノロジーの本が出版されました。秘密保持契約に守られ、常に噂だけが漏れ聞こえてくる程度でしたが、本書で色々詳しく描かれていてとても興味深いですね。

 

その設立から発展、世の中の全てのデータを掻き集めて売買のネタに関連付けて処理される機械学習の仕組みまで、もちろん詳細までは記載されていませんが、その思想は知ることができます。なるほどねぇと思います。

 

自分もシステムトレードを妄想したこともありますが、その仕組みを考えれば越えなければならない壁がいくつもあることに気付きます。例えば取引データの期間。日次、月次、年次などどの期間でデータを参照して取引に役立てるか。取引のボリューム、ロスカットのタイミング、勝ちの割合。そしてもちろん大切なのはどういったストラテジーを用いるか等々。。。そんな課題に同じように遭遇して解決していったのですね。その解決手法がクオンツ的というだけでやっぱり考えなければならないことは一緒なんです。あとは解決するまでやり抜くこと。それが稀代の収益をあげ続けることが出来たファンドを作り上げる要因なのでしょう。自分はすぐ挫折でしたが。

 

終わりの方はファンドの共同創設者がトランプ政権に関わっていた件が描かれています。巨万の富をもとにデータアナリティクスの会社と組んで、世論を操作したと耳にしたことがありますが、結局そのことがバッシングを生んでいたのですね。今年のトランプ再選の際も同じように協力していたものだと思っていたのですが、本書の内容からするともう縁が切れているのですかね。そのラインがなくなったのが、再選叶わなかった理由かもしれません。