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村上ファンドとして一世を風靡した方の自伝です。あの頃ホリエモンと一緒くたにされて世間から叩かれ、消えてしまいました。なんで今頃こんな本を書かれたのか、不思議に思っていましたが、それはあとがきに書かれていました。あの騒動があって、やはり心身共に堪えてたのですね。それでも世を倦んだ言葉など本書には一切吐かれていません。えらいことだなと思います。
元々通産省の出身なのですが、やはり非常に頭が良いんだなと本書を読んでいても感じます。それに人脈がすごいですね。何かあると、何処かの伝手でキーパーソンに会いに行ったり、手助けしてもらえるとは。それだけご本人が素晴らしく魅力的だからなのでしょう。
本書で度々触れられているように、著者がファンドを通じて実現したいことというのは日本のコーポレートガバナンスの浸透ということです。特に現状で言えば企業の内部留保が過大に積み上がっている状態であり、そのような状態で上場していることは無意味であるわけです。非上場となるか、もしくは自社株買いや特別配当などで還元しても良いはずだし、従業員への給料を上げても良いのです。特に労働分配率は大きな問題ですよね。労働者の実感として、これが上がらないとやはり景気も良くはならないでしょう。経営者側にもいろいろ言い分はあるのでしょうが、日本企業のROEが低くなるのも過大な内部留保が原因なのですね。
現在筆者はシンガポールに居を移して、悠々自適な生活を送られているとのこと。もう半分隠居だと語られていますが、なんとなくまたもう一度世の表舞台に出てくるような気もしたりします。その時はもう少し冷静に活躍を見れると良いなと思います。