資本主義だけ残った

 

共産主義が絶滅した今、現代では本書のタイトルのように資本主義だけが残った状態となっています。その中で本書では資本主義の2つの流派に焦点を当てて説明するとともに、今後の資本主義社会がどのようになっていくのかを論じています。

 

資本主義の2つの流派とは、1つはアメリカのようなリベラル全盛の資本主義であり、もう1つは中国のような資本主義を取り入れてはいるが、国家の統制色が色濃く残った政治的資本主義となります。リベラル資本主義の方は、富裕層が世代を重ねるに連れてより富裕層となり、貧富の差が開き、かつ固定的になりつつあるという現実が観測されています。これが今のアメリカの断絶を引き起こしているのは間違いないと言えるのでしょう。一方政治的資本主義については、これまた社会主義の名残なのか贈収賄が絶えないと言うのが、これもシステム上の欠陥点といった形で浮き彫りにされています。よく取り締まりなんかを強化しているというニュースを耳にしますが、もはやモグラ叩きに近いくらい当たり前のように蔓延っている現象なのでしょう。

 

最後の章では資本主義の将来像について、語っています。正直1章とこの最後の章だけ読めばよかったかなという内容でした。日本は政治的資本主義にはなれないし、アメリカほどではないですがリベラル資本主義がまったりと息づく社会となっていきそうです。そして中国はどうなっていくのでしょうか。政治的資本主義をこのまま続けられるのか、今までの人口ボーナスが逆回転しつつある中で、どのような展開を見せるのか、興味深いところです。