再興TheKAISHA

 

今時珍しい日本ウォッチャーによる経済書です。バブル崩壊と共に日本式会社経営なるものも興味を惹かれなくなり、全てが過去の遺物、見向きもされなくなりました。ところがどっこい日本企業はきちんと生き残り、会社再編を行い、様々な生産物に欠かせない基礎的プロダクツの提供に力を注ぐようになり、より必要不可欠な存在になってきているというのが本書の趣旨です。

 

本書にもある通り、この変化は必ずしもドラスティックなものではありませんでした。徐々にしかし確実に変化を遂げているのです。多分日本に住んでいる我々もさほど気が付かない程度なので、外部から見たら日本はほとんど変化がないように思えるかもしれません。しかし、そうした変化は着々と、確実に実施されていたのでした。この変化の仕方はあまり変化を好まないという国民性なのかもしれません。

 

今後の変化の視点として大きいのはAI活用によるDX戦略が挙げられています。これはなかなか事業に適した活用の仕方が難しいところだと思いますが、複数の企業がチャレンジングな活動を行っているとのこと。今後の行方を見守りたいところです。

 

全体の流れとして今年の日本株の株高を考えると日本の立ち位置がよくなって来ているというのは確かに感じるところです。これは中国経済の不調により、日本の存在が改めて見直されているからかもしれません(というか日本のこの20年のデフレ経済は中国から輸出されたもの、直接被害を被ったのが日本と思ってます)これから逆回転が始まる中国経済を尻目に、雌伏の期間を生き抜いた日本企業が改めて再興していくことを祈っております。