FACTFULLNESS

 

 真実が一杯ってタイトルな訳ですが、どんな真実か、きっと世界はまだ貧困が詰まってて、飢餓や疾病など課題山積、医療や教育が及んでいない地域がたくさん残ってる。そんな真実を更に突きつけられる本なのだと思ってました。

 

でも読んでびっくり本書は逆のことを描いているのです。我々の思い込みとはうらはらに世界はずっと良くなって前進しているのです。この2,30年で世界は大きく改善していることを実は我々は認識していない、その真実を物語ってくれるのが本書です。

 

本書では所得レベルを4段階に分けて貧困レベルからの脱出度合いの判断材料にしています。最高のレベル4でも1日32ドル獲得すれば良いので、日本で普通に生活していれば、問題ないレベルですね。最近は日本でも貧困層などと言われることがありますが、少なくとも世界レベルで言えば貧困でもなんでもない訳です。生活保護だって1日32ドルはクリアしてるのではないでしょうか。

 

世界はこのレベル4に漸次近づきつつあるのです。素晴らしいことですね。その過程で経済成長が生まれ、人口は抑制されていき、いずれ一定の成長率に収まっていく。本書ではその過程で人々の考え方も変化していくという興味深い指摘がなされています。先進国では世界的にリベラルと保守の分断が見られますが、その傾向はどの国も似ているますね。

 

一方先進国経済が停滞しているように思えますが、そうではなく上限に辿り着いてしまったということなのかもしれません。先進国用にレベル4の先の分類もあったら面白いなと思いました。但し後はPCやスマフォの普及ぐらいしか目新しい違いはないかもしれないし、それすら既にレベル4でなくても普及しているかもしれないですね。そうすると、全ての国々がレベル4に辿り着いたこの先にどんな世界が待っているのか興味があるところですが、そんな時代もそう遠くないのでしょう。