13歳からの地政学

 

個人的に地政学というもの自体を学んだ経験はありませんが、思春期に落合信彦を読みまくっていた自分としてはまぁこんな感じかという軽い読み物でした。詰まるところ国際政治学みたいなものですね。「大国の興亡」も面白かったなぁ。そんな世界の仕組みがどうなっているかということを、子供にもわかりやすい入門書という形で提示したのが本書なのだと思います。個人であれば近所付き合いが嫌なら引っ越せばそれで済みますが、そう簡単に出来ない辛さが国家というもの。常に近親憎悪のような形でやり合ってたとしても、付き合っていくしかないのです。本書ではそんな炎上必須のご近所さんネタはあまり触れられてないですが。

 

地政学というとランドパワーとかシーパワーとかいう話を思い出しますが、そういった状況を踏まえて日本はどのようなスタンスを取るべきかというところが大事なんだと思います。外務省とか本来そういう戦略を考えていて欲しいところなのですが、どうもパーティとお金ばら撒きしかしていないようで萎えます。今更領土を拡大すべきと考えている日本人は皆無でしょうが、むしろサラミ戦術のようにジワジワ既成事実を作っていこう虎視眈々と狙っている隣国がある中でどう国を建てていくのか。いやぁ、ホント悩ましいですねぇ。

 

 

EV推進の罠

 

本書は2021年刊なのですが、その頃からまたEVを取り巻く状況がガラリと変わって来ているのに驚かされます。たった2年とかそれくらいなのですけどね。2021年といえば、もうこれからEVしかあり得ない、エンジン車何って作っているのは邪道、そのための道筋を出していない自動車会社は悪といった風潮でした。トヨタなんかそのいい例ですね。その後BYDが優れたEVを売り出し、昨年の中頃まではEV万歳確定だったと記憶しています。

 

その流れが何となく変わって来たのが、昨年後半辺りからでしょうか。EVに突き進んでいた欧米の会社のEV売れ行きが思わしくないというニュースが出てくるようになりました。EVが自動車の売れ行きのメインと言われるようになった中国でも純粋のEVではなく、実はプラグインハイブリットも混みだったりしてEV市場のバラ色の未来に疑問符が着き始めたのが2024年初頭の状況です。状況はかなり変わりましたが、本書を読むとその主張が正しかったことがわかると思います。一方日本政府のスタンスが変わったのかはわからないですね。欧米の流れにいい顔したいだけで何も考えない政治家達がどのような方向性を向いているのか。

 

あと1、2年先でも良いので本書の総括と更にその後の将来見込みなど出してくれたら面白そうでした。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いされる力」で決まっている

 

「勘違いさせる力」つまりこれって何かというと「ハロー効果」ってことなんですね。これは著者の経験から実力よりも更にすごい人に思わせる「ハロー効果」を会得して人を勘違いに持ち込めば人生有利に何事も物が進むということです。こういった「思考の錯覚」はいろんな種類があって、それらを有効に使うことを勧めています。まぁ確かにSNS全盛の今は更にそれが活用できる時代なのかもしれません。おっさん世代である自分はこういうやり方が「あざとい」と感じてしまい、そこまでしなくてもなぁと思ってしまうのですが、それはやはりおっさんであるが故、生き残るためには確かに必要なスキルになってくるんだろうなと思ったりもします。逆に困るのが、こういうのだけ上手くて実力ない人が重用されたりのさばってたりしがちなところですね。最終的にはボロ出すのはよくあることですが。何であんな人がいるのというのがどこの世界にもいるものです。

人生は攻略できる

 

橘氏の著作は毎度読んでいるのでもしかしたら以前読んだ本の新書版なだけかもしれませんが、読んだか読んでなかったかわからないくらい内容についてはいつもの橘氏の主張そのままのまとめだったので、特段目新しさは感じられませんでした。

 

ただ敢えて言えば読者層の若返りを計っているというところでしょうか。まぁ多分今までの読者層も40代後半から50代に差し掛かり、今頃人生論を語られてもっていう年代になって来たからなのでしょうか。橘氏ならこれからの老後世代に向けた資産運用論などに立ち戻っても良さそうな気がしますがどうでしょう。ただ改めて読み直してみて、中学生ぐらいからこんな本を読んでいたら、色々人生設計に対する考え方が芽生えてよいなと改めて考え直しました。

不老長寿の食事術

 

オートファジー研究されている方が書かれた食事方法に関する本です。ですが、簡単にいうと普通に食べて、出来れば和食が望ましいという凄くあっさりした結論となります。いや、和食が良いなら昔の人はみんな不老長寿になってなきゃおかしいじゃんかというツッコミが頭をよぎりまくってました。まぁこの分野はまだまだ研究途中でわかってないことだらけなんですね、きっと。なんか良さそうだけど、具体的にどうしたら良いかまでは確実に言い切れないくらいなのかな。あとは普通に発酵食品とかポリフェノール、魚とかナッツ類など健康に良いというものを推奨しているので特別なことはあまり書かれてなかったです。

樅木は残った

 

 

 

上中下で各500ページ、合計1500ページの長い物語です。しかし流石昭和の文豪。読み始めるとスイスイ読ませてくれます。分量何って気にならないほどあっという間に物語の世界に入り込んでいきます。

 

本書の題材は江戸初期に起こった「伊達騒動」を題材にしています。以前何かの機会でこのお家騒動を知った時に本書のことを知り、いつか読もうと思いつつようやく読むことが出来ました。政宗以降、仙台藩でそのようなお家騒動が起きるなどとは思いもよらなかったのですが、もしかしたら著者である山本周五郎も同じような感想をもとに本書のようなストーリーを暖めて来たのかもしれません。

 

つまり重臣であった主人公原田甲斐が史実で伝わるような狼藉者ではなく、幕府の圧迫に対する仙台藩の行末を案じて演じた忠義者というストーリーです。これはこれでよく出来ていますね。良過ぎて出来過ぎな人物像という気がしなくもないほどです。しかしそれすら昭和の文豪の筆のなせる技なのだと感じました。多分真実は史実の通りなのでしょうが、本書が真の姿であると思いたくなる一冊でした。

元国税専門官がこっそり教えるあなたの隣の億万長者

 

国税専門官である著者が(相続税の調査でよく訪れてたようです)富裕層の特徴をまとめたのが本書です。ここでいう富裕層とは純資産で1億ある世帯のことのようで、日本では全世帯の3.5%が該当するとのこと。

 

そして大事なことは本書の書名にもある通り、意外と身近な人が富裕層だったりするのです。もちろん土地などの相続で得たものもあるでしょうが、それよりも大事なのは意外と質素ということ。その生活習慣は誰でも取り入れることが出来るという点は見習いたいと思います。とはいえ本書に記載されていることは、これさえやっておけばお金が増えるわけでもないですが、逆にそれほど突飛なことではないので自分の生活習慣を見直すためにも読んでみても良いかもしれません。