- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/04/22
- メディア: 単行本
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まず当時の前提条件が、「国家はそれぞれに思想を持っているものであり、戦争はそれぞれの思想間で起こるもの」ということです。例えば資本主義であり、例えば社会主義である。そんな中で、我が日本が掲げた主義というのが「アジアの民族独立」な訳です。日本以外は全て欧米の植民地であった時代です。その時に、最後に残ったアジアの民族である日本以外にどこが立ち向かっていくんだという気概があった訳です。そして、当時はその考えというのは日本国民の周知の事実であったということです。
ここまで書くと、でもやはり疑問が残る訳です。「韓国や中国を日本も植民地化したではないか」そうなんです。そして、それは当時でも認識されていた矛盾点だったのです。これは結構重要なポイントだと思いますよ。でもそれはいたしかたない矛盾点だったわけです。つまり、当時の日本の国力で欧米に立向かうためには一国ではムリがあったのです。
でもすごいと思うのが、時代の要請を歴史観を基にして論じてるということなんですよね。スケールがでかいですよ。それに理念のために人生を賭けるのが当然だと思われていたことも。今、理念なんってことばなかなか聞かないものですから。