- 作者: 半藤一利,戸高一成
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/03/22
- メディア: 単行本
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話題としては、戦術としての連携機雷の存在。今まであまり知られていませんでしたが、これが日本の秘密兵器であり、結構期待していたのです。しかし、それが波浪によって使えなかったこと。そしてかの有名な東郷のT字戦法がつくり話であったこと。T字ではなく、単純な併航戦だと言っています。未だにT字がなかったというだけでいろいろ反発が激しいというのは驚きですね。
日露戦争において、海軍は勝ったわけです。それも完勝に近い。その結果として当時のことは問答無用の絶定的存在となり、結果としてその後の太平洋戦争における敗北へと繋がったと本書では語っています。つまり「極秘海戦史」が語っている事実と、一般的に知られていることが異なっていたからなのです。日露戦争時の首脳陣はあの勝利が行幸の積み重ねであることを十分に知っていたわけです。それを冷静に捉えることが出来たか。逆に太平洋戦争時の日本は今から思うに不幸が結構重なってると思うのですよ。でもそれを生み出すことが出来たのはなぜか。本書でも最後に付されている連合艦隊解散の辞にその答えがあるのです。「神明は唯平素の鍛錬に力め戦わずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安んずる者より之を奪う。古人曰く勝って兜の緒を締めよと」結局これが出来なかったのですね。