ステルス戦闘機

ステルス戦闘機―スカンク・ワークスの秘密

ステルス戦闘機―スカンク・ワークスの秘密

タイトルこそ「ステルス戦闘機」となっていますが、実際は「スカンクワークス」という方が正しいでしょう。この本はロッキード社の開発チーム「スカンクワークス」の歴史を描いた一冊です。それはつまり、アメリカの軍用機の歴史と言っても過言ではないくらい、華やかなものです。

そんなスカンクワークスの開発スタイルは近未来を想定した技術開発と、それをもとにした少数精鋭による短期間開発でしょう。そして完璧さよりも、まずプロトタイプ。そして逐次改良。今風に言えばアジャイルですかね。それで数々の優れた飛行機を産み出してきたのですから凄いの一言です。

アメリカの製造業が落ち目になって久しいですが、原因は本書でも度々指摘されているような、管理制度が無駄なコストと軽快な開発スタイルを阻害するようになったというのが一因だと感じています。セキュリティから品質から最近はお金の出入りまで管理と監査と書類の嵐です。こんなことでまともに本業に従事出来るわけないですよ。こういった管理が世界標準とされて、日本の製造業まで蝕んでいるんではないかなと思うのです。官僚主義による無謬性の追求や管理主義なぞ百害あって一利なしです。

その点で筆者はスカンクワークスのようなやり方がベストであると断言しています。スカンクワークス創業者も経営についてこう言っています
「経営で本当に大切なのは、決断すること。間違った決断でも必要な時に何もしないよりかはまし。大切なことは中途半端に問題を放置しないこと。」本当に。これすらしないで管理だけ行うことの如何に多いことか。