東国武将達の戦国史

 

あまり期待しないで読み始めた一冊でしたが、とても面白かったです。信玄や謙信、北条一族など個々の話は知っていましたが、東国という一括りの中で各武将達の動きがそれぞれどのような影響を与えてきたのかという相互関係を俯瞰して書かれているので、その視点が新鮮でわかりやすかったです。更にその戦国前夜、太田道灌関東管領上杉家、足利の古河公方の動きなども改めて読んでみると面白いですね。そこに北条早雲なども出てきて、応仁の乱だけでなく、既に東国でも同様に戦国の世の発端が垣間見れていたのです。

 

あと面白かったのが、戦さを戦略的戦術的な観点から描いているということでしょうか。ロジカルで武将達の思惑が理解することが出来ました。その中で戦略的に領土拡大していけた北条家は素晴らしいですね。家督相続で揉めることもなく、5代続いたというのはなかなかのものです。結果として最後は秀吉に潰されてしまうわけなのですが、これは今川武田上杉に囲まれた状況では致し方ないところもあります。正にみんなでモグラ叩きをしあっている状態で、どんぐりの背比べというか、この環境ではなかなか突出した存在になることは難しいですね。その間に織田豊臣が勢力を伸ばして行ってしまった格好です。逆に謙信は戦さ上手だったのかもしれませんが、それだけで何がやりたかったのかさっぱりです。戦さに明け暮れてればそれで良かったのでしょうか。