技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

タイトルからなんとも刺激的です。
でも昨今の情勢から鑑みるに、正に今日本が直面している課題なんですね。
ここ10年は電気産業の苦境が伝えられ、特に最近では自動車産業にも暗雲が立ち込めてきているわけです。この原因を我々は認識しないといけないのです。

そのためにこの本では知財マネジメントの重要性を説いています。知財マネジメントと言っても、単に特許を取るだけというわけではないんですね。まず製品の特徴に応じて重要な技術を絞り込み、特許化する箇所とブラックボックス化する箇所を振り分けます。その後それらをビジネスモデルとして、どのように自社で事業化する部分と、他社と協業する部分に分けて、市場をコントロールして拡大させていく戦略に落とし込んでいくかを決めていくことを指すのです。

日本はこの第二段階が上手く行えていないのです。逆にこの第二段階で、上手く分類して自分の強みを生かしているのがインテルやアップルなどのアメリカの会社で、そのパートナーとして乗っかっているのが台湾や韓国の会社なわけです。

結局のところ、日本の弱点は昔から戦略的思考が弱いところんですよね。世界大戦を見てもそうなのですが。局所戦では有利に戦っても、結局のところ大勢を決めるべきところで上手く主導権を取れずにズルズル負けていく。今この情勢を見て、再び盛り返すことが出来るのか。諦める前にもう一度戦い直せる力をこの国は持っているのでしょうか。