マダム・エドワルダ/目玉の話

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

バタイユ「目玉の話」です。昔は「眼球譚」として有名でしたね。この眼球譚、つまり目玉物語はT大学の教授のお勧め図書の中でもかなり票を集めていたのでいつかは読みたいと思っていたのでした。

そこで、この新約です。なんだか題がふつーになってしまいました。眼球譚に比べて、あまりインパクトないですねw戦後のフランス文学っぽく(っていうか比べてよいのかわからないけど、)異邦人とか嘔吐とかと同じにおいがする小説でした。まぁ言ってみれば単なるエロ小説なんですけど。ひょっとしたら、今からみたらたいした事ないのかもしれません。この小説が出た時代からすれば、画期的、性の解放!な小説なのかもしれませんが、今はその路線でただ過激さを競ってきたので元祖エロ小説は肩身が狭くなっちゃったのかな。

戦後、いろんなものが開放という名の下に自由になってきたけれども、結局それでよかったのかは極めて疑問です。人類が永い時をかけて築いてきた、文化や風習・風俗・慣習など全てを古いものとして、それらをブチ破るものこそ正義としていたことがはたして正しかったのか。人類は結局、それらを崩壊させた後に、それらに変わる新しいものを未だ築きあげれていないのですよ。パンドラの箱を開けたために世界は更に混沌としてしまったのです。