市場の変相

市場の変相

市場の変相

今ではすっかりリーマン前とリーマン後は全く違った世界というふうになってしまいましたが、この本はリーマン後の世界はリーマン前に描いた本なのです。

タイトルである「市場の変相」とは、マーケットが大きく変化を起こす曲がり局面はどのようなものであるかということである。そしてそれをもとに、変化をもたらす兆候を見落とすなということである。

新興国の台頭
・それに伴う債権債務国の立場の逆転。更にSWFの発展。
・新型金融商品(特に証券化商品)やSIVの普及。それによるリスク管理や簿外への”飛ばし”。

確かにこれらの現象は2000年以降に明らかになったことばかりなのではないかと思われます。そして、大切なことはこのような新しい現象に対して、既存のシステム(各国や国際的な規制機関から個々のリスク管理手法まで)が全く対応出来ていない。このことが一気に危機という形で噴出してきたのが、今回の危機の原因ということなんです。

これにどう気付くかということも本書で述べられてますが、基本的にはその前に様々なシグナルが現れるということです。そのためのツールが経済心理学であったりするわけです。

マーケット関係者や各国当局向きへのアドバイスも載っていますが、基本的に必要なことは上記のような、世界の大きな変局をどれだけ早く正確に認識出来るかということなんだと思います。