天切り松

天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)

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天切り松 闇がたり 2 残侠 (集英社文庫)

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天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)

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天切り松 闇がたり 4 昭和侠盗伝 (集英社文庫)

天切り松 闇がたり 4 昭和侠盗伝 (集英社文庫)

久しぶりの浅田次郎の本です。相変わらず面白いです。本当にハズレがない。そして、どの人物のキャラが立っててカッコ良いのです。時代背景とその描き方も絶妙です。大正時代の後期から昭和初期まで、その頃の情景が鮮やかに目に浮かんで来るのです。我々の認識では戦前はすべからく軍国主義で真っ暗な時代というイメージなんですが、さにあらず。物凄く垢抜けて活気に満ちあふれてます。正直、今の時代より素敵なのではと思ってしまうぐらい魅力的でした。心意気ってものがあった時代の人からすれば、今のちみちみした生き方で溢れてるこの日本に喝の一つも入れたくなるでしょう。本当に自分の生き方すら、再考させてくれます。しかも気分良く。こんな人生じゃいかんなと。天切り松に説教してもらいたいもんです。

個人的には昭和に入った第四巻が一番好きですが、どれも面白いです。笑いとお涙、そして義侠。歴史的登場人物も適度に配置されてるのですが、その人選がなかなかにマイナー路線で面白いです。有名だけど、あまり描かれてなさそうな人々。そんなところも魅力的なんでしょうね。