- 作者: マッキンゼー・アンド・カンパニー
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
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特に興味深かったのは、2000年以降小泉改革が実施されていた際の一人当たり生産性伸び率(TFP)はG5の中でもトップであったということです。小泉改革は負の部分ばかりが強調され、今までそんなことは話題にも挙ってなかった気がするけども、非常に重要なことだと感じました。それなりにやれば出来るし、結果も付いて来ていた訳です。
それから、別の視点では失われた時代と言われた90年以降、日本の会社のトップが現役で活躍していた際というのは、日本が貿易摩擦で海外への販売が制限されて内需拡大に目が向いていた時代だという点である。確かに団塊の世代の罪悪は多々あるけれども、こういった時代の流れというのも忘れてはならないと感じる。
思うに、個人の行動というのはそれぞれが置かれた環境と取りうる手段の中で、それなりに優位な道を選択してきているのです。ニートだって、生活保護者だって確実に餓死するのならばなんとか生き抜くように対策を講じるだろうし、そうしないのは、その現状で十分に生活出来るからなのです。また近年、日本に起業家が少ないとさかんに論じられてますが、それはリスクとリターンを考慮して最適な道を選択すれば、起業よりも会社に就職した方が有効だと思われるからに過ぎません。ライブドアのあの不合理な結末を思えば誰でもそう思うでしょう。逆に昔は起業するのに相対的なリスクの方が少なかったのです。
結局の所、日本はまだまだ余裕があるのです。どこか、最終的には国がなんとかしてくれると、○○に優しい社会などと言っているから甘えが生じているのです。財政がこれほど逼迫しても、社会保障を削るのではなく、どこかから費用を捻出してくる方を選ぶのです。まずはこの辺について、社会の考え方を変えなければならないかもしれません。小泉改革に懲りて民主党を選んだ国民は、覚悟が足りなさ過ぎたのだと感じます。
それはともかく、本書にはマッキンゼーが示す対策も個々に提示されていて、さすがマッキンゼーと思わせる一冊となっています。日本の将来について思いを馳せる、正月の年初の一冊にふさわしい充実した内容でした。