中国経済の謎

 

バブルが崩壊するすると言われて早10数年。気がつくと、危機は雲散霧消し、逆に経済は力強く復活して成長しているのが今までの中国経済の印象でした。あの危機は一体どうしたんだろうといつも思いながらも、毎度の危機報道に、実際に崩壊するまでは間に受けないような気持ちになっていました。

本書はそんな個々の経済危機の経緯について、実際にどのような対応が行われたかを詳細に明らかにしています。よく中国は日本のバブルやアメリカのサブプライムの対応を研究しているという話を聞きましたが、研究以上の素晴らしい実践によって、それまでの危機に対応してきたことになります。これは本当にすごいことです。

 

まずすごいことの第一は対策により、きちんと危機が解消されてきたということです。そして第二はその個々の対策自体は異論反論あったであろうでしょうが、力強い推進力で推し進めていったということです。日本なんか毎度なぁなぁで骨抜きにされて、結局経済停滞がずっと続いてしまっている状態です。もちろん異論反論の裏にはかなり相当な数の泣いている人達がいることは想像するに難くないのですが、そんなものは象の前のアリンコのように踏み潰されて前進していくのです。多分国家や共産党の危機の前では省の一つや二つくらい潰れてもなんってことないぐらいなのだと感じています。きっとそれくらい懐深い国家なのですよ。

 

去年の暮れぐらいに不動産会社の苦境が伝わってきましたけど、その後梨の礫。気がついた頃にはなんらか解決していることなんでしょう。恐るべし中国。しかし、本書でも書かれていますが、今までの危機が本当に解消しているのか、見えるところが消火されただけで、実際はマグマが奥深いところに溜まっているのかは判断が難しいところのように思えます。これから少子化に突入する中国が今まで人口が多いことでプラスのサイクルを回せたものが、逆回転していかないか、その際に噴出するマグマに対応しきれるのか、今後の対応にも目が離せないと思います。