母の待つ里

 

久しぶりの浅田次郎氏の本です。いやぁ読んで良かった。なんというか今の時代にぴったりあったサービス設定です。東京集中が続いてもはや故郷と言えるものがない人も多いのではないでしょうか。それにも拘わらず日本人の頭の中には典型的な故郷が根付いているのですね。本書はそんな故郷に魅せられた3人の物語です。

 

それにしても本当に言葉の使い方が繊細で、情景がとてもビビッドに浮かび上がってきます。故郷の古民家で供される手作りのもてなしの数々が登場人物達、そして読者を癒してくれるのです。そして影の主役であるホスト(?)であるお婆ちゃん。なんだかよく出来過ぎていて怖いですが、しかしこんな存在がいたらなぁと思わざるを得ません。

 

読み始めてからあっという間に読み終えてしまいました。相変わらず著者の本は読んで良かったなぁという読書感が残る作品ばかりです。