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AppleIpod,IPhoneを産み出し、そして独立してスマートホーム機器を開発するNest社を起業したものづくりをやりたいと思った人であれば知らない人はいないと思われるファデル氏の著作です。Nest退社後は様々な人からメンターとしてアドバイスを求められてきたということで、その経歴を元にアドバイス集的なものとして著しています。しかしそのため内容も濃いです。なかなか読み進めるのに時間がかかりました。

 

それにしてもNest社がGoogleに買収された後、イマイチパッとしなかった理由が本書でも明らかにされてますね。質実剛健なNest社と、検索課金でお金がジャブジャブなGoogleなかなかうまくいかないものです。本書でも従業員にマッサージやら食事無料など様々な恩恵を施しているテック企業を批判していますが、言っていることはとても妥当だと思います。

 

日本もかつてはものづくりで世界に名を馳せたこともありましたが、今はそんな力が残っているのはゲームと自動車業界ぐらいでしょうか。家電を始めとした電気機器産業はものづくりのカケラも残っていないという酷い有様です。なんだかんだ言って、アメリカはこうやってものづくり力が残っていっていてすごいものだなと思います。このようなメンターといったような文化として、脈々と受け継がれていくのですから、これからも次世代のIphoneや様々なデバイスが新たに産み出されていくことでしょう。日本でもちょっとした規模の小綺麗な家電を提供する会社は多少生まれはするのですが、それが世界的な会社になったりせぬまま中途半端な会社で落ち着いてしまって残念です。ぜひファデル氏のようなメンターを手にして世界に羽ばたいて行って欲しいものです。