下流喰い

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

衝撃的なタイトルですが、中身もそれに劣らず衝撃的な内容です。格差社会とか、勝ち組負け組とかマスコミではそんな言葉で片付けてしまって実態がどうであるかなんてあまり報道されてないような気がしますが、この本を読むとゾッとします。

確かに金を借りるという行為に、引け目を感じなくなりつつあることが問題ではあるのですがそれ以上に一旦入ったら二度と抜け出せなくしてしまうシステムが、今の消費者金融そのものなのではないでしょうか。正に蟻地獄システム。全てを貪り尽くすような。消費者金融が伸び始めたのが97,8年辺りだということですが、思うにその頃から実質的に格差社会へ突入した頃なのではないでしょうか。消費者金融のターゲットボリュームゾーンが年収500万円以下、300万円以下でも40%を占めるということは如何に下流層が増えているかを如実に示していると感じます。

しかし、なぜその層が消費者金融を利用してでも消費活動を行ってしまうのか、ここに問題があると思います。そして、その理由はといえば、下流層が下流であることを認識できず、昔の中流意識がまだ残っているからなのでしょうか。まだ90年代までは一億総中流と呼ばれていました。その意識が、未だに社会的にも残っているがために、そうと認識出来ない人達が誤ってしまうのではないかと感じます。格差社会が当たり前となって、一億総中流が幻想と化したときに、果たしてこの下流喰いという現象が続いているのか、その頃の社会がどうなっているのか、きちんと考えておく必要がある気がします。