ウェブ時代をゆく

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

あとがきにありますが、福沢諭吉の「西洋事情」と「学問のすすめ」に本書と前作である「ウェブ進化論」をなぞらえている点が面白いです。つまり福沢諭吉が生きた江戸〜明治という時代の狭間を生きていく方法と同様、現代のネット社会の前後の狭間を如何に理解して生きていくかということ、そのために本書があるわけです。

つまり本書の役割は「学問のすすめ」なのです。このネット社会という新しく広がった領域において、我々が選択できる選択肢はどのようなものがあるかということを明示することであると感じました。

新しい領域に対して、多くの人は拒絶反応を起こすかもしれない。全くついていけないこともあるでしょう。でも知的領域という分野において、可能性が多くの人に開かれたという事実は確かなものです。

就職氷河期に直面して、さほど大きくはない会社に就職した76世代だけれども、そもそも大規模組織への適応性は全くないので正に本書にある通り、きちんと"in the right place"を求めながら生き抜いている今の現状の中で、本書は納得できるとともに今後へのよき道標に溢れていると感じる一冊でした。