どくとるマンボー航海記

 

昔から題名だけは知っていて、推薦図書なんかにも挙げられていたと記憶していますが、結局読まずにいて、ふと何かの折に再び見かけて読んでみようと思い、読んでみました。

 

寡聞にして、北杜夫先生があの斉藤茂吉氏のご子息であることを初めて知りました。なるほど、血は争えないということか。しかも文学が本業ではなく、もともとは医者でいらっしゃったとか。森鴎外氏もそうですが、優秀な方は多方面に優秀なんですね。

 

それはそれとして本書ですが、戦後間も無くの頃、船医として乗り込み、世界各国を回った際の記録をおもしろおかしく書いたものです。今となってはこれくらいの内容はブログとかで普通にありそうなレベルですが、あの当時は書き振りも含めてとてもウケたのですかね。当時はドル不足で海外などなかなか行けない時代だったのでしょうから、憧れの海外旅情報が好まれたような気がします。あと時代と言ってはなんですが、今らなハラスメント的に問題になりそうな記載も散見されていて、おおらかな時代だったんだなぁと思わずにはいられません。

 

それにしても当時から医者の方々は海外に出て研究やら研鑽されていたようで、各国にお知り合いがいらっしゃって素晴らしいです。しかも電報なんかでコミュニケーション取っていて、今ならとても不便なんだろうなぁと思わずにはいられないですが、それはそれで何とかなるもんなんですね。