江戸→TOYKO なりたちの教科書

学生の頃、よく読んだ都市計画の本では東京の計画性のなさを嘆くものばかりでした。大体が欧米の計画性を賞賛していたものでしたが、本書を読めばそれが半ば、間違っていたということに気付くはずです。少なくても戦前、ちゃんと言えば江戸時代などはそれなりにきちんとした街並み計画に基づいて形作られてきていたのです。江戸の花は火事とけんかと言われたぐらい火事が多かったので、防火用の空地帯の設置など、権力がある幕府だけに強制力を持って実施されてますね。
なので現在の計画性の感じない雑然とした街並みを見れば憤慨もするのですが、それは特に戦後、私有地の概念が蔓延りだしてから土地が投機の手段となってから発生したものだと思われるのです。江戸時代は外れだった東京の西側エリアなどは基本的に戦後開発されているので、計画もなしに発展してしまったため、ごちゃごちゃしたエリアばかり残ってしまったのだと考えられます。

本書では地図が多用されていて、時代の移り変わりでどのように変化があったのかもわかりやすく示されていて、とても興味深いです。この地図だけ見てても飽きないです。読んでいるとわかりますが、東京で大規模開発が行われている土地は基本的に大名屋敷に発するところが多いです。そんな江戸時代からの文脈として、街の歴史がわかると、その雰囲気がどこから醸し出されてきているのかまで想像が及んで楽しいですね。