中年の危機を乗り越える8つの方法

 

もういい中年の歳ではありますが、そこで気になってくるのが中年の危機と言われる「ミッドライフ クライシス」です。今の所そのような症状があるようには思えませんが、もしかしていずれそのようなことになるやともしれず、参考程度にまず読んでみました。

 

読んでみるとまず著者自身がそのような症状になった経験があるということ、更に著者の職業が牧師さんであったということに驚かされました。職業として宗教家を選んでいたとしても、そういう状況に陥るということもあるのですね。これは精進が足らんという言い方も出来るかもしれませんが、一方でそのような方でさえ、悩まされるというこの症状の闇の深さといったものも感じさせてくれます。

 

中年の危機とは何なのか、本書によると「自分の人生の限界」に直面した時、これをすんなり許容出来ない場合の「あがき」なんだそうです。もっと人生何か出来た、他の人生がよかったと今の自分を許容出来ない場合、更に深刻化してしまうのだと。これに向き合い、受容していくことが大切なんだといことです。

 

更にユングの考察では、重要な概念として「影」という存在があります。自分が人生を歩んでいく上でそれまでいろんな選択をしてきている訳ですが、その選択で選ばなかった方、棄てられた選択肢のなかで魅力的であり、それが別の人生として歩んだ場合の別の自分、それこそが「影」となって自分を惑わすのです。

 

いや、なるほどわかりやすいです。自分は今まで後悔しないよう心掛けて選択を行なってきたつもりではありますが、それでもそういった選択肢が頭をよぎる事はママあります。今の選択が自分の本望でなく、かつ捨てた方が魅力的に思われれば、尚更その別の人生に思いを馳せらずにはいられないでしょう。

 

そんな「今と違った人生」「捨て去ってきた選択肢」である「影」を取り込み直す過程こそが中年の危機を乗り越え、バランスある人格により成長させてくれるものだと筆者は主張しています。なるほど、これはまた人生を一つ豊かに成長させていくためのハードルなのかもしれませんね。

 

それらを踏まえて、本書では何をしたらよいかを8つ提案してくれてます。が、自分はここまでの中年の危機の本質を示してくれただけでも十分でした。更に言えば、人生100年時代、仕事もも子育ても一山越えた後に更にその「捨て去った選択肢」を拾い集めていくというのも面白い生き方になるのだなと感じています。