ボクたちはみんな大人になれなかった

 

元々興味を持ったのはNetflixの映画の広告でした。90年代後半を舞台にしたという説明と共に、目を引いたのは主演の伊藤紗莉の正に90年代後半にいたであろうファッション!ピンで髪を留めるスタイル、そうそう!いたいた、こういう子。今じゃ見なくなったあのヘアスタイル。もうそれだけで映画を観たくなった。

 

とはいえ、Netflixに契約していない自分は観ることが出来ないのでとりあえず原作だけでも読んでおこうと思っていた手に取った。なんかタイトルもね、いいオッサンになった今でもちゃんとした大人になれたか微妙な自分に照らし合わせて妙に心に響く。

 

青春の一コマ、自分を理解してくれた人、最愛のブス、二度と会わなくなった人達、何もかもが妙にリアルで親近感が湧く。なんか凄く読んでいて心地良かった。あの時代に生きて、恋をして、将来を夢見、生きてきて、こうやって40代も半ばになるとなぜか昔のことをよく思い出すようになった。別にやり直したいわけでもなく、心残りもないつもりだったけど、それでも過去を思い出すのは年のせいなのだろうか。

 

そんな昔の彼女にFacebookで友達申請してしまい、申請された彼女が返した行動が正に、著者が今までずっと生きてきたのは全てがそのためにあったのだと思わざるを得なかったです。取るに足らない、場末のエクレア工場でひたすらエクレアを作ってた毎日から、ひたすらガムシャラに生きてきた20数年、来し方を振り返り、あの最後の別れの瞬間に言えなかった言葉を紡いだ時に、人生の一つの結末を迎えることができたのだと思いました。

 

人生で思い残したことに、こうやって終わりを見つけられることって中々ないと思うけど、だからこそ物語で追体験出来たことで、自分のことのように感じ、感動を重ね合わせることが出来たんだと思います。