ザ・フォーミュラ

 

ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」
 

 普通に考えれば「成功の普遍的法則」なんて怪しい本であること間違いなしなんですが、本書が違うのは著者が有名なネットワーク論の第一人者であることです。「新ネットワーク思考」にとても感銘を受けた覚えがあるので、本書も間違いなしという気がして読んでみました。

 

成功を科学するのというのは中々難しそうで、本書でもその進め方がいくつか描かれているのですが、データの地道な取得と分析の連続ですね。でもネットワーク思考の専門家が成功というものに惹かれた理由というのもだんだんわかってきます。つまり、成功とはパフォーマンスだけでは足りず、ネットワークが奏功に必要だということです。よくいう人脈がここで活きてくるわけです。

 

本書では様々な示唆を与えてくれます。例えば学生が大学を選ぶ際に、成功する大学というのは実はないということです。成功する学生が多く選ぶのが成功する大学となっているだけで、元々成功するような学生はどこの大学に行っても成功しうるということです。他にも成功は何歳まで達成出来るのかという話も出てきます。よく科学上の発見などは30歳より前でしか得られないという話を聞きますが、アイディアを形にする能力、そして情熱があればいくつになっても可能性はあるという話は40歳を半ばになった自分にとってもとても嬉しい話でした。葛飾北斎が人生の最後まで絵の上達を求めていく話が最後に添えられていて、より印象的でした。

 

この本を読んだからといって、成功が簡単に掴めることにはなりませんが、少なくてもどのようにすれば良いかということはわかり、それは今まで言われてきたことの確認に過ぎないかもしれませんが、このように科学的にデータを伴った分析がなされるということはとても面白いことだと思います。