北京籠城

 

明治33年、義和団の乱の際に北京籠城した時を記録となります。柴五郎氏の足跡を追って、本書を読んでみました。2段組みでかつ漢字も多用され、ビッチリ細かい文字が並んでいます。一瞬読むのを躊躇するぐらいのボリュームなのですが、戦前の出版かと思いきや昭和40年なんですね。

 

本書は日記という形で籠城時の出来事をつぶさに記録されていて、当時の状況を伺い知ることが出来ます。籠城下において、日々忙しくさに忙殺されてしまいそうなものをここまで記録を残すことが出来たというのは、中々出来ることではないと思うのですが、当時ではそれが普通だったのかもしれないですね。この籠城時の指揮により、柴氏は功績を讃えられ非常に評価を上げたわけなのですが、そんな自身の活躍っぷりなど微塵も書いておらず、ただ淡々と戦いを描いているわけです。氏の人柄なんですかね。

 

本書は平凡社から文庫という形で出版されているのですが、中々興味深い古典が並んでいますね。今ではもう誰も読まなくなったであろう書籍達ですが、このまま埋もれてしまうのは勿体無いラインナップですね。いつか手に取ってみたいと思いました。